近年の空き家事情

増え続ける空き家

高齢化社会が進む日本で、団塊世代の相続により空き家が増加していきます。総務省住宅・土地統計調査によると全国の空き家数は2013年に約820万戸でしたが、2019年は848万9千戸まで増えています。これは昭和38年から増加し続け13.6%と過去最高となっています。

高齢化社会が進む日本で、団塊世代の相続により空き家が増加していきます。総務省住宅・土地統計調査によると全国の空き家数は2013年に約820万戸でしたが、2019年は848万9千戸まで増えています。これは昭和38年から増加し続け13.6%と過去最高となっています。

空き家が増える理由と対策

自宅を所有する高齢者が老人ホームなどの高齢者住宅や子供宅などに転居することで空き家が増加していきます。第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた団塊の世代の高齢化が急激に進みます。それに伴い、空き家も増加します。特に駅から遠い利便性の良くない地域にある住宅街では空き家が一気に増加することが予想されていました。しかし、2020年の新型コロナウィルの感染爆発によって、テレワークが普及し、新しい働き方に変わり、郊外の一戸建てが見直されてきています。菅総理大臣は東京一極集中是正に舵を取り地方創生・空き家対策に注力してくものと考えられます。

空き家の発生による悪影響

空き家は、周辺地域に悪影響を与えます。雑草が伸び景観が悪化。不衛生な状態から悪臭が発生します。老朽化による家屋の倒壊が起きる危険性があります。不法侵入や不法占拠、空き家内部での犯罪や放火のリスクも高くなるため、治安維持のためには政府と国民は多くのコストを支払うことになるでしょう。空き家が増えるということは、その地域に住む人が減っているということですから、その地域の活力が低下し、道路や水道、電気といったインフラを維持することが難しくなります。利用世帯数が半減してしまった場合、1世帯あたりのインフラ維持の負担は倍となってしまい、他にも、スーパーや銀行、クリニックなど、生活に欠かせない施設の撤退も起き、その地域の魅力を低下させる原因になります。

空き家の内訳と傾向

売却用 販売中の空き家29万3千戸
賃貸用 入居者募集中の空き家432万7千戸
別荘等二次的住宅 38万1千戸
その他 348万7千戸 (転勤・入院などで長期にわたって不在住宅など)

中でも問題になのは売りにも、貸しにも出しておらず、定期的な利用がされていない状態のその他に分類される空き家です。2013年時点で318万戸でしたが2019年の調査では30万戸増加しています。その他の空き家は、他の空き家に比べて管理できる状況にない可能性が高い傾向があります。誰も管理しない植栽は、蚊をはじめ害虫の発生源となり、老朽化した建物はシロアリの恰好の繁殖場で、シロアリの被害が建材落下、倒壊のリスクを招くことがあります。街の景観を損ない、見通しが悪化することで不法投棄や放火など、防犯上の重大なリスクにも繋がります。

使われない家屋が空き家として放置される要因は、住宅を壊して更地にすることで、所有者が支払う固定資産税と都市計画税の金額が上がってしまうという税制度にもあります。家屋が建つ土地は住宅用地として、固定資産税・都市計画税の軽減措置が適用されます。家屋を建てることで土地にかかる固定資産税は最大6分の1、都市計画税は最大3分の1まで負担軽減されますが、家屋を撤去し更地に戻すと、この軽減措置がなくなります。住宅の解体コストもかかります。

空き家対策リフォームをして民泊として貸出

空き家の一番簡単な解決方法は、そのまま居住用として貸し出すことです。状態が良くない場合は、の修理やリフォームをして賃貸に出しましょう。通常の賃貸のほか、旅館や民泊として活用する方法もあります。

民泊は、個人宅の一部、別荘、マンション、戸建てなどを宿泊用として利用します。個人の所有宅を貸すビジネスモデルは、従来の旅館業法で規制するとほとんどが要件を満たせませんでした。2018年に住宅宿泊事業法という法律が制定され、住宅の一部の貸し出しが可能になりました。有名な観光地などではホテル不足解消の一つの手段としても注目を浴びています。民泊にする場合は、利用者への規約や近隣の方への配慮・承諾などが必要ですので、事前に必要事項を確認しましょう。